2025.12/12

夕陽に向かって歩く力──院長から皆さまへ

ソアビル歯科医院の院長、鈴木です。

師走の慌ただしさが少しずつ深まりゆく中、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

先日、束の間の休息を兼ねて館山の海を訪れました。

ちょうど日が沈む時間帯で、空の色が刻一刻と変わりながら海を照らし、その美しさにしばらく足が止まりました。

その夕陽を前にして、軽やかに身体を動かすひとりの若者の姿があります。

片足を大きく上げたり、逆立ちで波に向き合ったり──写真のモデルは、私の娘です。

父親としての目線を脇に置いても、

「よくここまで育ってくれたな」

と思わずにはいられない姿でした。

風が強く、足元は安定しているとは言えず、海風も冷たい。

それでも彼女は迷いなく動き、バランスを取りながら、ただ夕陽の方向へと軽やかに進んでいきます。

その姿を眺めながら、私は自然と、

医療の軸とは何か

医院としての歩みとは何か

という原点へ立ち返ることになりました。

変わりゆく環境の中で、揺らがないものを持つ

海は常に動いています。

波は決して同じ形を繰り返さず、風も光もすべてが変化し続けます。

歯科医療の現場もまったく同じです。

患者さんの悩みや希望、生活環境は多様化し、

最新技術や材料は目まぐるしい早さで進化していきます。

情報も溢れ、治療の価値観も大きく変わりました。

そんな時代において、ソアビル歯科医院が何より大切にしてきたのは

「誠実さと思いやりをもち、上質な歯科医療を提供する」

という変わらぬ理念です。

娘が強い海風の中でも姿勢を保とうとするように、

医療にもまた、揺るがない“軸”が必要です。

それは派手な力ではなく、

結果を急ぐ力でもなく、

誰かと比較して上に行くための力でもありません。

目の前の患者さんを理解し、誠実に向き合う姿勢。

その積み重ねが、医療の質を決めていく。

夕陽の光を浴びながら、私はその当たり前を改めて深く感じました。

包括歯科臨床は、人生の歩みを整える医療

娘が逆立ちをしている写真を見て、

思わず咬合や全身のバランスを連想してしまうのは職業柄でしょうか。

どんな姿勢であっても、

倒れないためには「軸」が必要です。

そしてその軸は、表面に見える動きではなく、

身体の深いところで支えられています。

歯科医療も同じです。

むし歯、歯周病、噛み合わせ、習癖、生活習慣──

ひとつの問題が単独で存在することはほとんどありません。

まるで波と風と光が混ざり合って景色をつくるように、

複数の因子が絡み合って現在の口腔内を形作っています。

だからこそ、ソアビル歯科医院では

問題を“点”で見ず、“線”として理解する包括的診療

を大切にしています。

これはただ治療を行うのではなく、

患者さんがこれから歩んでいく人生の軌道を整える医療です。

夕陽が沈むとき、海は一瞬静けさを取り戻します。

その落ち着きの中で、「人の身体もまた、整えば静かに機能する」と感じました。

2025年に向けて──医院として磨き続けること

今年はありがたいことに、多くの学会で発表する機会をいただきました。

その度に、日々の診療の質が問われ、医院の方向性も試されます。

娘の姿を見ながら、私はひとつ決めたことがあります。

それは、

「医院としての軸をさらに太くすること」

です。

① 初診カウンセリングの精度を上げる

患者さん自身が「自分の状態を理解できる説明」をさらに洗練。

② スタッフ全員の価値観を共有する

歯科衛生士・助手・受付──誰が対応しても同じ理念が伝わる医院へ。

③ メンテナンス文化をさらに強化する

治った後こそ、患者さんの人生に伴走する医療を。

④ 情報発信を通して“見える安心”を届ける

ブログ・Instagram・院内掲示などを通し、わかりやすく誠実に発信。

これらは派手さはありません。

しかし、地味な積み重ねが未来を変えていきます。

最後に──揺れながらも、前へ進む力を

夕陽に向かって大きく腕を広げる娘の姿は、

未来へ向かう象徴のように見えました。

風は強くても、足元は揺れても、

それでも前に向かって進む。

人生も、医療も、医院も、同じです。

ソアビル歯科医院は

誠実な医療を軸に、皆さまの人生を支えるパートナーであり続けたいと思います。