2026.2/4

【第4回】あなたの「不安」を「安心」へ。物語を聴くカウンセリングが大切な理由

【本連載にあたって:科学的根拠に基づく診療】 本連載は、歯科医療の専門論文(※)に基づき、当院の診療理念を体系的に解説する全10回の特別企画です。今回は、患者さまが心に秘めている「思い」や「過去の経験」を治療にどう活かしていくか、対話の重要性について深掘りします。▶ 連載インデックス(目次)に戻る


1. 「病気」だけを診ていませんか?

歯科医院を訪れる際、多くの方は「虫歯を治したい」「入れ歯を直したい」といった具体的な目的を持たれています。しかし、同時に「昔、麻酔で気分が悪くなった」「先生に怒られたことがある」といった、言葉にしにくい不安も抱えているものです。

東京都足立区保木間のソアビル歯科医院では、レントゲンや検査結果に現れる「データとしての病気」だけでなく、患者さまが心で感じている「不安の物語」を大切にしています。

専門論文においても、医療者が科学的データのみに依存するのではなく、患者さまが自身の病い(やまい)をどのように捉えているかという**「ナラティブ(物語)」**に耳を傾けることの重要性が説かれています。

2. NBM(物語に基づいた医療)というアプローチ

近年、医療の世界ではEBM(エビデンスに基づいた医療)に加え、**「NBM(Narrative-Based Medicine:物語に基づいた医療)」**が不可欠であると言われています。

  • EBM(科学的根拠): 統計や論文に基づいた、客観的に正しいとされる治療。
  • NBM(物語的根拠): 患者さまがこれまでの人生で経験してきたこと、抱いている価値観、生活の背景。

例えば、ある患者さまが「歯を抜きたくない」と言ったとき、そこには「親が抜歯をしてから急に老け込んだのを見てショックを受けた」という物語があるかもしれません。この物語を無視して、「医学的に抜くべきです」と説得しても、真の納得感は得られません。

当院では、患者さまの物語を丁寧に聴き、その思いを尊重した上で、科学的な正しさとどう折り合いをつけるかを一緒に考えます。

3. 不安を解き明かす「解釈モデル」

論文では、患者さまが自身の病気についてどのように考えているかを探る「解釈モデル」という手法が紹介されています。私たちは、以下のような対話を通じて、あなたの不安の正体を一緒に見つけていきます。

  • 「この症状の原因は何だとお考えですか?」
  • 「この症状によって、生活で一番困っていることは何ですか?」
  • 「今回の治療で、最も避けたいことは何ですか?」

これらをお聞きすることで、「なぜこの患者さまはこれほどまでに歯科治療を怖がっているのか」という背景が共有されます。理由が共有されると、私たちはそれに対する具体的な対策(例えば、麻酔の工夫や、こまめな声掛けなど)を講じることができ、それが確かな**「安心」**へと繋がります。

4. 過去のトラウマを「安心」に変えるために

歯科医師がどれほど優れた技術を持っていても、患者さまの心が閉ざされていては良い治療はできません。論文には「人は出会ってから約7秒で相手への印象を決める」とあり、共感的な態度の重要性が強調されています。

「こんなこと言ったら怒られるかな」「恥ずかしくて言えない」 そんな風に思う必要はありません。ソアビル歯科医院は、あなたの物語を批判することなく受け止める場所です。

「昔、治療の途中で通えなくなってしまった」「長年放置してしまって、見せるのが恥ずかしい」 そうした過去の物語も含めてお話しいただくことで、私たちは今のあなたに最適な、無理のないスタート地点を見つけることができます。

5. 足立区で「心までケアする歯科医療」を

足立区保木間や竹ノ塚にお住まいの皆さまにとって、歯医者が「嫌な場所」ではなく「安心して自分を任せられる場所」になること。それが私たちの願いです。

専門論文が説く「共感的医療」の実践とは、単に優しく接することではなく、患者さまの心の背景を科学的・人間行動学的に理解し、それを治療計画に組み込むプロの技術です。

お口のトラブルは、心の平穏と密接に関わっています。まずはリラックスして、あなたのこれまでのこと、これからのこと、お聞かせください。


足立区・竹ノ塚で「歯科治療に恐怖心がある」方へ

ソアビル歯科医院では、論文に基づいたNBM(物語に基づいた医療)を実践し、患者さまの不安に寄り添ったカウンセリングを行っています。一人で悩まず、まずはその思いを共有させてください。


次回予告:正確な診断の裏側にある「プロの思考」(臨床推論)

次回は、歯科医師がどのような思考プロセスで原因を見つけ出しているのか。その知的な裏側、**「臨床推論」**の世界をご紹介します。最新設備を活かすための「考える力」についてお話しします。▶ 連載インデックス(目次)に戻る

(※)参考文献:日本総合歯科学会雑誌 第10巻 第1号(2018) 「総合歯科医の具有すべきコンピテンシー―これからの歯科医療に求められる共感的・全人的医療の実践―」