2026.1/30

【第2回】歯の痛みは「心」と「体」のサイン?ソアビル歯科が実践する「人を診る」医療

【第2回】歯の痛みは「心」と「体」のサイン?ソアビル歯科が実践する「人を診る」医療

※本記事は連載企画です。全体の目次はこちら。 ▶ 【特設ページ】当院が大切にしている10のこと

【本連載にあたって:科学的根拠に基づく診療】 本連載は、歯科医療の専門論文(※)に基づき、当院の診療理念を体系的に解説する全10回の特別企画です。今回は、論文の核心である「全人的医療」をテーマに、お口の健康が全身や心とどのように繋がっているのかを詳しく紐解いていきます。


1. 「歯だけを見る」時代の終わり

「虫歯があるから削って詰める」 これまでの歯科医院は、こうした目に見える「不具合」を修復する場所でした。しかし、現代の歯科医療において、その考え方は大きく変わりつつあります。

東京都足立区保木間のソアビル歯科医院が大切にしているのは、歯というパーツだけを見るのではなく、その方の背景にある生活や心まで含めて捉える**「全人的医療(ぜんじんてきいりょう)」**です。

専門論文においても、これからの歯科医師に求められる能力(コンピテンシー)として、単なる技術だけでなく、人間行動そのものを理解する力が重要であると強調されています。なぜ今、歯科医療に「人を診る」視点が必要なのでしょうか。

2. 「生物心理社会的モデル」という新しい視点

論文では、病気(Disease)を捉える際のパラダイムシフト(考え方の転換)について触れられています。これまでの「生物医学モデル(バイオメディカルモデル)」は、細菌や損傷といった生物学的な原因だけを探るものでした。

しかし、当院が導入しているのは**「生物心理社会的モデル(Biopsychosocial Model)」**という考え方です。これは、患者さまの状態を以下の3つの側面から多角的に分析する手法です。

  • 生物的側面(Bio): 虫歯の進行度、歯周病の状態、持病(糖尿病や高血圧など)の有無。
  • 心理的側面(Psycho): 歯科治療への強い恐怖心、日常的なストレス、治療に対する意欲(モチベーション)。
  • 社会的側面(Social): お仕事の忙しさ、食事の習慣、ご家族のサポート、経済的な背景。

例えば、何度も虫歯を繰り返す患者さまがいるとします。生物医学モデルでは「磨き方が悪い」と判断して終わりですが、生物心理社会的モデルでは「仕事のストレスで夜食が増えていないか?」「忙しくてケアの時間が取れないのではないか?」という背景まで探ります。この「背景」を解決しない限り、本当の意味でお口の健康を守ることはできないのです。

3. 2025年問題と高齢者歯科の重要性

論文が指摘する重要な課題の一つに「2025年問題」があります。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるこの時期、お口の健康は「食べる楽しみ」だけでなく、全身の健康を守る最後の砦となります。

高齢者の患者さまは、お身体の不自由や持病など、複雑な健康問題を抱えていることが少なくありません。 「歯が痛くて食事が進まない」という訴えの裏には、体力の低下や、それによる外出の減少、心理的な落ち込みといった連鎖が隠れていることがあります。

足立区の地域医療を担う歯科医院として、私たちは最初のカウンセリングでこれらのお身体や生活の事情を詳しくお伺いします。それは、単に治療をするためだけでなく、**「その方が最期まで自分らしく生きるため」**の最適なケアプランを立てるためなのです。

4. 医療者と患者さまの「解釈」を一致させる

患者さまが感じる「病い(Illness)」と、医師が診断する「病気(Disease)」には、しばしばギャップが生じます。

  • 歯科医師: 「この歯は保存が難しいので抜歯がベストです」
  • 患者さま: 「大切なイベントがあるから、今はどうしても抜きたくない」

このような価値観の違いを無視して治療を進めると、信頼関係は崩れてしまいます。論文では、患者さま独自の「解釈モデル(なぜ今、この病気になったと思うか、何を心配しているか)」を引き出すことの重要性が説かれています。

当院では、あなたの「こうしてほしい」「これが不安だ」という解釈をまず尊重します。医学的な正解を押し付けるのではなく、あなたの人生の現時点において何が最善かを、心と体の両面から一緒に考えていきます。

5. 「心の平穏」が治療効果を高める

意外に思われるかもしれませんが、リラックスして受けた治療と、強い不安の中で受けた治療では、予後(その後の経過)が変わることがあります。

心理的なストレスは、お口の中の免疫力を低下させ、歯周病を悪化させる原因にもなります。当院が「痛くない治療」や「丁寧な説明」にこだわるのは、単に優しくしたいからではありません。患者さまの心理的ストレスを取り除くことが、科学的に見てもお口の健康維持に直結するからです。


足立区・竹ノ塚で「全身の健康まで守る歯科」をお探しの方へ

ソアビル歯科医院は、あなたの「歯」を治すと同時に、あなたの「生活」と「心」を支えるパートナーでありたいと考えています。

「最近、食事がしにくい」「体の不調とお口のトラブルが続いている」 そんなお悩みがあれば、ぜひ当院にご相談ください。私たちは、お口の中からあなたの全身の健康をデザインします。


次回予告:納得して受ける治療選び(SDMとVBP)

次回は、治療方針を決定する際の重要なプロセス、**「協働的意思決定(SDM)」**について解説します。医師が勝手に決めるのではなく、患者さまと共に歩む「後悔しない治療選び」の秘訣をお伝えします。

次回は「(納得して受ける治療選び(SDMとVBP))」についてお話しします。 他の連載記事を読みたい方はこちら。 ▶ 連載インデックス(目次)に戻る

(※)参考文献:日本総合歯科学会雑誌 第10巻 第1号(2018) 「総合歯科医の具有すべきコンピテンシー―これからの歯科医療に求められる共感的・全人的医療の実践―」