2026.2/11

【第7回】治療が終わったあと、どうすれば「いい状態」をキープできる?無理なく続けられる健康のコツ

【第7回】治療が終わったあと、どうすれば「いい状態」をキープできる?無理なく続けられる健康のコツ

【本連載にあたって:科学的根拠に基づく診療】 本連載は、歯科医療の専門論文(※)に基づき、当院の診療方針をわかりやすく解説する全10回の特別企画です。今回は、治療を終えたあとの「健康なお口」をどう守り続けるか。ついつい後回しにしがちなセルフケアや定期検診を、無理なく前向きに続けるためのヒントをお話しします。▶ 連載インデックス(目次)に戻る


1. 「治療完了」はゴールではなく、新しいスタート

「ようやく治療が終わった!これでしばらく安心だ」 歯の治療が終わった瞬間、誰もがホッと胸をなでおろすものです。しかし、実はここからが本当の意味での「お口の健康づくり」の始まりです。

せっかく痛みを取り、綺麗な被せ物をしても、その後のケアが疎かになれば、数年後にまた同じ場所が再発してしまうかもしれません。再治療を繰り返すごとに、自分の歯の寿命は少しずつ短くなってしまいます。

ソアビル歯科医院が目指しているのは、治療を繰り返さないこと。専門論文においても、歯科医師の重要な役割は、ただ治すだけでなく、患者さまが自ら「健康を守ろう」と思えるようにサポートすることにあると説かれています。

2. なぜ「歯医者のアドバイス」は続きにくいのか?

「もっと丁寧に磨いてください」「甘いものを控えてください」 どこの歯医者でも言われることですが、これをずっと守り続けるのは意外と難しいですよね。なぜなら、これらは「指示」であって、あなたの生活にフィットしているとは限らないからです。

論文の中では、歯科医療におけるコミュニケーションには3つの役割があるとされています。

  1. 原因を突き止めること
  2. 不安を取り除くこと
  3. やる気を引き出すこと

特に大切なのが3つ目の「やる気を引き出すこと」です。私たちは、あなたの生活を無視して一方的な正論を押し付けるのではなく、あなたの毎日のルーティンの中に、どうすればケアが入り込めるかを一緒に考えます。

3. 「完璧」よりも「続けられる工夫」を

例えば、夜お仕事で疲れ果てて、洗面所に立つのも辛いという日に「10分間磨いてください」と言われても、続けるのは困難です。

そこで、論文でも推奨されている**「調整(話し合い)」**が重要になります。 「どうしても夜が無理なら、テレビを見ながらの『ながら磨き』はどうでしょう?」 「全部を完璧にするのが難しいなら、ここだけは守るというポイントを絞りませんか?」

私たちは、あなたのライフスタイルに合わせた「オーダーメイドの予防策」を提案します。プロが理想とする100点満点を目指すのではなく、あなたの生活の中で無理なく続けられる70点、80点を一緒に探していく。この「自分にもできそう」という感覚(自己効力感)こそが、モチベーションを維持する最大の秘訣です。

4. 歯科医院は「モチベーションの充電スポット」

定期検診(メインテナンス)は、単に歯石を取るだけの場所ではありません。 論文が説く「共感的医療」において、メインテナンスの時間は、患者さまが「自分の頑張りを確認し、自信を取り戻す場所」でもあります。

  • 「前回よりここが綺麗に磨けていますね!」
  • 「生活が忙しかった中でも、この状態をキープできているのは素晴らしいです」

私たちは、あなたの努力を小さなことでも見逃さず、一緒に喜びます。良いところを見つけ、励まし、時には一緒に改善策を練る。歯科医院を「怒られる場所」ではなく、**「健康へのやる気をチャージする場所」**に変えていくことが私たちの目標です。

5. 一生おいしく食べるための「伴走者」として

一生涯、自分の歯で美味しいものを食べ、笑顔で過ごす。それは、人生の質(QOL)を大きく左右する素晴らしい価値です。

論文の教えに基づき、私たちは患者さまを「治療される人」ではなく、「共に健康を作るパートナー」だと考えています。あなたが「自分の歯を大切にしたい」と願う気持ちに寄り添い、時には励まし、時には新しいコツを共有しながら、長い道のりを一緒に歩んでいきます。

治療後の健康を維持することは、自分自身を大切にすること。私たちは、あなたの「続けたい」という気持ちを全力でバックアップします。


「予防を始めたいけれど、自信がない」という方へ

ソアビル歯科医院では、あなたの生活環境や性格に合わせて、無理のないケアプランを一緒に考えます。「三日坊主で終わってしまう」「何をすればいいか分からない」という方も、どうぞ気軽にお話しください。二人三脚で、心地よい健康習慣を作っていきましょう。


次回予告:年齢を重ねても「自分らしく」あるために

次回は、これからの社会で大切になる**「高齢者の歯科医療」**について。体調や環境の変化に合わせたお口のケアが、全身の元気や心の健康にどう繋がっているのかを、優しく解説します。▶ 連載インデックス(目次)に戻る

(※)参考文献:日本総合歯科学会雑誌 第10巻 第1号(2018) 「総合歯科医の具有すべきコンピテンシー―これからの歯科医療に求められる共感的・全人的医療の実践―」